神経発達症とその周辺

溢れる情報の中から、小児科専門医が選んだ信頼できる情報を提供します。

子どもに鼻のかみ方を教える

鼻かみ(片方ずつが正しい)

随分前になりますが、子どもに鼻のかみ方をいかに教えるかについて調べ、プリントを作成して患者さんに配布していた時期がありました。

現在は医院の解説サイトに「鼻のかみ方・練習法」としてアップしています。

ポイントは、

・子どもは鼻から息を吐くことに慣れていない。

・まずは口から息を吐くことに慣れさせる。

(例)ティッシュやかざぐるまに息を吹きかけて動かす遊びをする。

・口から息を吐くことに慣れたら、口を閉じて鼻から息を吐く練習をする。お母さん・お父さんと一緒に遊びながら。

・鼻から息を吐くことができるようになったら、片方の鼻の穴を押さえて息を吐く練習へ。

・それができるようになったら「チーン」につながる。

というイメージでした。

 

神経発達症・発達性協調運動障害の不器用さを視野に入れた解説書にはどんなことが書かれているのでしょう。作業療法資産が書いた本を読んでみました。

私がポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。

 

<基礎知識>

 

▶ 子どもが鼻をかめるようになるまで

・顔が洗えるようになったあと。

・鼻かみ動作は、息を吸い込んだ後に、口をしっかり閉じて、鼻から勢いよく息を吐き出す必要がある。

・その息にあわせて、ティッシュペーパーなどを持った手で鼻水を受ける。

・効率的にかむためには、片方ずつの鼻の穴を押さえること、かむときに使用するティッシュペーパーなどを適度な大きさにたたむ、など指先の細かい動作が求められる。

 

▶ 鼻のかみ方を教える前に確認しておきたい動作

・顔を洗える。

・口を閉じて鼻だけで呼吸ができる。

・右手で右の鼻の穴、左手で左の鼻の穴を交互に押さえて閉じられる。

 

▶ 鼻が詰まっていると・・・

・ただ呼吸が苦しいだけではなく、頭がボーッとして学習効率が下がる傾向がある。

・鼻水が常に垂れている状態は、交友関係や社会性の発達によくない影響が出てくる可能性がある。

・必要に応じて鼻をかめると鼻呼吸を確保することができ、感染予防につながる。

・常に鼻汁・鼻閉がある場合は耳鼻科を受診して診療を受ける。

 → 抗生物質漬けになりがちなので、当院では漢方薬を提案しています。

(参考)「子どもに漢方?」「風邪の悩みに漢方を」「副鼻腔炎(ちくのう症)の漢方

 

<トラブルへのアドバイス

 

▶ 両手がうまく使えない → 机の上でティッシュペーパーを折る練習を

・鼻をかむ際に、使用するティッシュペーパーを丸めずにうまくたたむことができると、鼻をかみやすくなる。

・ふだんからタオルをたたむ手伝いや、折り紙を折るといった遊びを取り入れるとよい。

・折り目のついたティッシュペーパーを机の上に開いて置き、折り目に沿って二つに折る練習をしてみる。タオル地の小さめのハンカチを利用するのもよい。

 

▶ 感覚の未発達 → 気持ちのよい鼻呼吸の感覚を経験させる

・ふだんから常に鼻水が出ているような場合、その感覚に慣れてしまうため、鼻のまわりが乾いた気持ちのよい状態を経験させる。

・鼻水を吸い取る道具もあるため、大人がしっかりと鼻水を取り除いてあげて、鼻呼吸する感覚を経験させる。

・温めたタオルなどで少し蒸してから拭くと、痛みを感じずに鼻水がキレイに拭き取れる。

 

▶ 力のコントロールが苦手 → 口周りの筋力を高める

・口周りの筋力が弱いと、鼻から息を吐こうとしたときに口から息が漏れてしまう。すると、しっかりと鼻水を息で押し出せなくなり、うまく鼻をかめない。

・ふだんの食事内容がやわらかいモノばかりになっていないか要確認。

・口を使った遊び(ラッパ、シャボン玉など)をたくさんする。

 

▶ ものを見る力が弱い → 鼻をかむ様子を目で見て確認

・鼻をかむ際は、ティッシュペーパーなどで鼻を隠してしまう、ティッシュを押さえる手も自分では見えにくい。

 → 鏡の前でかんでみたり、大人がかむ様子を見せてあげる。

・ティッシュペーパーのない状態で、一番力の強い中指を中心に、鼻の穴を押さえる動作の練習もよい。

 

▶ 体のイメージが捉えにくい → 鼻の穴を押さえる動きを教える

・年齢が低いと、鼻の下を手でこするような動きで拭き取ろうとしがち。

・鼻の穴を押さえる動作がイメージできない場合は、まずは押さえる位置を確認させ、鼻の穴を横から片方ずつ押さえる動きを教える。うしろから介助すると動きが分かりやすくなる。

 

<参考>

発達が気になる子への生活動作の教え方(中央法規、2013年発行)

発達障害作業療法・実践編・第三版(三輪書店、2019年)