「食べられない」を科学する 〜食べこぼし〜
子どもが「食べられない」現象を、運動機能の発達から紐解くシリーズです。
第一回:スプーン・フォークをうまく使えない
第二回:箸をうまく使えない
第三回:コップをうまく使えない
第四回:ストローをうまく使えない(準備中)
第五回:座る姿勢
ときましたが、ようやく食べる動作にたどり着きました。今回は、
第六回:食べこぼし
を扱います。
今まで書いてきたように、食具をうまく使うためには、それなりの手の運動発達が獲得されていることが必要です。さらに、適切な食事環境を提供すること、そして発達段階に応じた食事を提供すること、と多くの要素をクリアする必要があります。
「食べこぼし」と一言で表現される問題は、どんな要素から成り立ち、そしてどのようにサポートすると解決するのでしょうか。早速、覗いてみましょう。
今回も参考書を読んでポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。
<基礎知識>
▶ 食べる動作の発達
(生後半年頃)手に持ったものを食べられるようになる。
・手の機能や口腔機能の発達が未熟なうちは、ポロポロと食べこぼしたり、食べ物で遊んだりする。
・手づかみ食べを通して、食べ物や口に入れるときの感触を学び、手の機能も発達し、さらに手と口の協調性が発達していく。
・以上の経験を元に、次のスプーンなどの道具の操作に移行していく。
(1歳頃)スプーンなどの道具を使い始める。
・スプーンを使い始めることで、減ってきた食べこぼしがまた増えるが、大人が介助しすぎると、結果的に1人でうまく食べられるようになるのが遅くなる。
・ダラダラ食べをしていると食欲が湧かないので遊び食べが増え、食べこぼしも増える。
(2歳半頃)こぼさないで食べられるようになる。
・正しい食具の持ち方をすれば食べこぼしが減るわけではない。子どもの手の機能の発達に合った食具と使用方法が大切。
▶ 事前に確認すべき動作
・椅子に座っていられる。
・スコップなどで砂をすくってバケツに入れられる。
▶ 食べることに集中できる環境を整備
・テレビを消す。
・おもちゃなどを片付けて見えないようにする。
・大人も新聞や雑誌などを見ながら食べない。
▶ 安心して食べられる環境を提供
・たくさんこぼしながら、安心して食べられる経験をさせる。
・古新聞などを床に敷いて、食後の片付けが簡単にできるような工夫も必要。
<トラブルへのアドバイス>
▶ 両手がうまく使えない → 手の大きさに合った器を使う
・器をうまく支えられないと食べこぼしの原因になる。
・手の大きさに合った器を用意する。目安として、茶碗であれば中指と薬指が底に当たる大きさ。
・器が動かないように滑り止めマットを利用する。
▶ 感覚の未発達 → 口の中や周囲を触れられることに慣れる
・食べ物が口の中に入るときは、唇で取り込むことが必要。
・子どもは食べ物の固さや大きさに合わせてかじりとったり、すすってみたりと、唇や歯に当たった感覚などに基づいて、適当な動きを選んでいる。
・口の中や周囲を触れられることや、歯みがきの仕上げを嫌う場合は、触覚に過敏性がある可能性がある。
▶ 力のコントロールが苦手 → すくいやすい器を利用する
・力が弱すぎたり入りすぎると、スプーンやフォーク、箸などのコントロールがうまくいかず、器を口につけた状態で食べる「かき込み食べ」をしやすくなる。
・縁が高めの小鉢や、すくいやすい器などを利用することで、コントロールできる場合がある。
・スプーンやフォークで食べ物をすくったり挟んだりしたあとは、一度口まで食べ物を運んでから食べるようにする。
▶ ものを見る力が弱い → 食べ物ひとつひとつを確認しやすく
・一つの大きな器にいくつも食べ物がのっていたり、様々な大きさや形の食材が混ざって乗っている場合などは、食べ物ひとつひとつを確認しにくいだけでなく、救う方向や挟む向きなどを複雑に調整する必要が出てくる。
・食材の大きさや形をある程度揃えるなどの工夫をする。
▶ 体のイメージが捉えにくい → からだが道具の先まで伸びていることをイメージする
・手づかみでは、食べ物を直接持っていった位置で口に運べるが、道具を使う場合は、すくったり挟む位置が手よりも遠い位置になる。
・このような動作がうまくなるためには、遠位感覚の発達が必要になり、自分の体が道具の先まで伸びているというイメージをつかむ必要がある。
・鉛筆や筆などで書く動作や、実際にスプーンでこぼしても汚れにくい大きめのビーズうさぎのハナちゃん。やビー玉などをくすって容器から容器に移す遊びなどがオススメ。
・箸で食べこぼしが多い場合には、一度スプーンに戻し、食べこぼしを減らすことを優先させた方がよい。
<参考>
・発達が気になる子への生活動作の教え方(中央法規、2013年発行)